戦後1950年代の日本から学ぶ「社会開発」:生活改善普及員の事例

のりお@ペルーです。首都・リマが寒くて出かける気がしないので書きかけで放置されていたブログ記事を完成させてみました。...なにしに南米きたんだ、って感じですが。

イデアスでは、もう28期日本人研修生の授業が始まっているようですね!Facebook pageで拝見しました。
今期の研修生のみなさんが怒涛の一年、力をあわせて乗り越え成長されることを願っております。
暇があったらまた情報発信もよろしくお願い致します。.(^-^).


さて。
今回はIDEASの名物教授・佐藤寛先生の十八番授業(らしい)、外国人研修生たちも大いに引き込まれていた生活改良普及員について、です。

日本の発展から現行の開発援助を考えるのって、大事だと思います。なぜなら、日本は「途上国」から「先進国」になった国だから。そこから学べることは多いはずです。

たとえば1950年ごろの医療も栄養状態も向上する前の日本の平均寿命は約60歳でした。そこからの平均寿命の伸びで国の発展状況を見ることができます。日本の発展の中での経緯と取り組みを観察することは、今後の途上国開発にも示唆を与えてくれるはずです。

この、日本の発展が始まり、人々の生活が劇的に変化した時代に生活改善運動というものが始まりました。

1950年代から農村の生活を改善するためにできたのが「普及員派遣」の制度。これにより生活改良普及員(セイカイさん)が活躍し始めます。

生活改良普及員とは、

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農業改良助長法(昭和23年法律165号)に基づき、農林漁業従事者の相談相手として、その生活関係の知識や技術の普及指導活動を行う専門技術者。全国485か所に設置されている地域農業改良普及センターに所属し、2000年(平成12)現在で一地域農業改良普及センターにおおむね3人、全国計で1296人が配置されている。身分は地方公務員である。なお、1991年(平成3)2月の国の運営方針において、「農業関係」と「生活関係」の普及指導活動の、より一体的な推進を図る観点から、農業改良普及員と生活改良普及員という呼称区分を廃止し、「改良普及員」とした。
生活関係の普及指導活動は、協同農業普及事業の一環として、生活に関する適切かつ実用的な知識や技術の普及指導を直接農家に接して行うもので、アメリカの農村社会で開発されてきた普及事業活動がモデルとされて出発した。普及員の活動分野は、衣・食・住をはじめとして家計管理や育児、保健衛生などの広範な分野にわたっているが、農村の生活が、近代化、都市化の波を受け大幅に変化している今日では、女性農業者の経営参画の促進や高齢化に対応した生活・営農環境の改善等の課題に取り組んでいる。
出典: kotobank

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生活改良普及員の特徴
第二次世界大戦後の日本は、GHQ による指導のもと、新しい農業普及制度(1948 年)の導入
とともに普及実践のパラダイムシフトに取り組んだ。戦中までのトップダウン型アプローチに
おいては農業技術の消極的な受け手であった農民を、「考える(主体性のある)農民」として育
成し、ボトムアップ型普及への転換を図ることが新制度の理念とされた。生改は「農家生活の
向上」と「考える農民の育成」という二つの目標を掲げ、農村女性を対象に活動する新規職種
として誕生した。初期の生改たちは現場活動の試行錯誤の積み上げから、「農家生活の向上」の
ための専門性を築き、「考える農民育成」のための手法を確立し、生改という職業とその支援体
制を徐々に整備していった。

出典: 太田(2004)

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男性は農業の生産向上などを請負い、女性のセイカイさんは、トレードマークの「緑の自転車」で、担当地域家庭を回ってかまど改善、キッチンカー(「栄養改善指導車」)を用いての栄養改善、農作業着の改善などを担当しました。
未亡人、地主の娘、教員などの当時の教養ある女性、また戦争で未亡人になってしまった人で勉強をしたい人がセイカイさんをしていたそう。







近年になって、JICAで、戦後日本の生活改善経験を掘り起こし、現在の農村開発に有用な示唆を与えることを目的とした「農村生活改善協力のあり方に関する研究会」というものが行われました。



そして、現行のJICAプロジェクトでこの生活改善運動の知識技術が生かされています。
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ちなみに、上記の資料をまとめた太田先生の授業も、イデアスでありました。佐藤寛先生のコーディネイトによるものです。
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興味ある!という方、以下の文献が詳しいです。インターネットから無料でダウンロードできます。
参考文献
太田美帆『生活改良普及員に学ぶファシリテーターのあり方 : 戦後 日本 の経験からの教訓』、JICA報告書PDF版、2004年。
水野正己・ 佐藤寛 編『開発と農村 —農村開発論再考— 』、ジェトロ・アジア経済研究所、2008年

こちらの資料では、佐藤寛先生が、当時のセイカイさんたちにインタビューを行っています。

これがなかなか現在の日本とはかけ離れていて、面白いです。
当時の高等女学校卒の女性の思考、生活、そして普及員としての活躍を知ることができるのも面白い。

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現行の途上国開発における生活改善運動については、以下をどうぞ。映像なので、文字で伝えきれない空気感がわかると思います。

JICA NET映像ライブラリー
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現在先進国となった日本の経験・教訓が、今後発展してゆく国々がより良い発展の仕方をするために活きるって素晴らしいし、自分もいつか貢献したい分野だな、と思います。


今回は、以上です。



とりあえずペルー名物セビッチェだけでも食べに出かけてきます。では。



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by ideas_blog | 2017-09-16 10:36 | 開発について(経済開発/社会開発) | Trackback | Comments(0)

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