書籍紹介:あなたのTシャツはどこから来たのか?

お久しぶりです。忙しくしたり、息を抜きすぎて魂も抜けていたりしていました。河津です。

読書感想文が苦手だった私ですが、ゼミの論文購読で読んだ本が面白かったので、
たろさんやトゥルルペさんもすなる書籍紹介なるものを河津もしてみんとて久しぶりに書き込んでおります。
自由貿易、労働、インフォーマル・セクターなんかに興味のある人はぜひ読んでみてください。

<ピエトラ・リボリ(2007)『あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実』雨宮寛・今井章子訳、東洋経済新報社。>
(Pietra Rivoli (2005) The travels of a T-shirt in the global economy: An Economist Examines the Markets, Power, and Politics of World Trade, Wiley.)
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<下敷きにしているのは論文購読の資料。アクター別に整理する課題だったのだが、アクターが多い>


リボリ教授が、大学Tシャツの製造過程で労働搾取が行われているという抗議活動を大学内で見かけたのをきっかけに、手に取った1枚のTシャツの製造過程をさかのぼって、グローバリゼーションの一端を明らかにしていくお話です。学術書なのですが、語り口が平易で、翻訳も自然なので、小説のように読めます。
*タイトルからは倫理的消費を促す告発本っぽく聞こえるかもしれませんが、作者は経済学者なのでそういう内容ではないです。英語サブタイトル "An Economist Examines the Markets, Power, and Politics of World Trade" がまさに。

リボリ教授の購入した綿Tシャツの一生は、テキサスの綿農場からスタートします。
なぜ、アメリカの綿花は長きにわたり競争力を維持してきたのか?アメリカの紡績・縫製産業は、なぜ綿製品の輸入保護を勝ち取り続けているのか?そしてそれにもかかわらず衰退していっている理由は?イギリス、アメリカ、日本、中国と続く縫製業から始まる工業化に共通するパターンとは?先進国の輸入制限は途上国の発展を阻害するだけなのか?
テキサス→中国→フロリダと旅をするTシャツを追いかけて、Tシャツのヴァリュー・チェーンを見つめていくのが前半。意外なことに、この流れの大半は市場競争とは別の原理で動いていると教授は指摘します。

Tシャツの後半生は、着なくなった服として慈善団体の回収に出されてから始まります。「ミトゥンバ」と呼ばれる古着としてタンザニアに運ばれたTシャツが第2の消費者の手に届くまでの過程は、前半生とは反対に独占企業もなく、規制もほとんどない市場競争です。古着産業は途上国の衣料品産業を根絶やしにしてしまうのか?インフォーマル・セクターは悪か?

教授が実際にそれぞれの企業を訪問していろいろな人と握手をしながら見たことをもとに書かれているので、それぞれの現場の様子が生き生きと描かれています。
気になった方はぜひ手に取ってみてください。

ではでは。

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by ideas_blog | 2017-06-08 12:29 | 書籍(動画)紹介・参考書籍

国際協力/途上国開発の専門家を養成するアジア経済研究所開発スクール(IDEAS/イデアス)27期日本人研修生(2016-2017)の生活を綴ったブログです。授業の様子や大学院・進路・奨学金情報をお届けします。IDEASの公式ホームページはこちら(http://www.ide.go.jp/Japanese/Ideas )海浜幕張駅から徒歩10分、見学も可能です。


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